真夜中のパレード
透子はゆっくり猫を撫で、
やがてもこもこした小さな物体を抱き上げた。
「あぁー、やっぱり実物は写真より
かわいいですねぇ!」
上条がシャワーを浴びて部屋に戻って目にしたのは、
猫と全力でたわむれている透子だった。
髪の毛を拭きながら、くすくす笑って問いかける。
「美人でしょう?」
「はい、とっても!」
透子はきらきらした目で猫を見つめる。
「お名前は何て言うんですか?」
「ミケです。姉がつけたんですよ」
しばらく猫の話で盛り上がる。
その間もずっとミケは透子のそばにいてくれて、夢のような時間だった。
「天音さん」
「はい?」
気がつくと、すぐ隣に上条が座っていた。
驚いて透子の動きが止まる。
ミケは彼女の足の上から降り、自分専用のクッションに戻ってしまった。
真剣な眼差しが自分に近づいてくる。
どきりとして、動きを止める。
まだ彼の髪の毛は少し濡れていた。
ぽたり、と水滴が一雫落ちた。
ほのかに甘いシャンプーの香りがする。
「あの……」
彼の手が、自分の頬を優しく撫でる。
「あ、あの私……!」