真夜中のパレード


 ☆


届いた蕎麦はとてもおいしく、すっかり空腹も満たされた。

それはよかった、のだけれど。



「あの」


蕎麦を食べ終わって満足した透子は、ちらりと上条に視線を投げる。



「はい?」


余裕のある笑顔が、何だか怖い。


「そ、そろそろ、送っていただいても……」



上条は少し意地悪っぽく目を細める。


「その服でですか?」


透子はむっとして言い返す。


「私の服、乾きましたよね?」


「どうでしょう?」


上条の答えに、どうしていいか分からなくて戸惑う。



からかっているのだろうか。


…………それとも。


またドキドキと、鼓動が高鳴っていく。


顔を赤くしていると、大きな腕に優しく包まれた。


「あっ」





「……今日は、あなたを帰したくありません」


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