真夜中のパレード
透子は戸惑って、ぎゅっと目を閉じた。
「あの、私……」
彼女の身体が小さく震えているのに気付き、
上条は優しく透子の背中を撫でた。
「大丈夫ですよ」
「え……?」
それから視線を合わせ、本当に優しい視線を向けた。
「心配しないでください。
あなたが嫌がることは、絶対にしませんから」
「は、はい……」
すとん、とその言葉が胸の深い場所に落ちる。
どうしてだろう。
そう言われると、途端に安心した。
「だから、嫌ならちゃんと断ってください」
「は、い」
上条も息をつき、透子の耳元に口を寄せた。
彼の低い声で耳の中が満たされる。
「抱きしめてもいいですか?」
「は、い」
もう、ほとんど抱きしめているような物だった。
それでも彼の大きな身体に包まれると、
安心と緊張がないまぜになった不思議な感情に襲われた。
「キスしてもいいですか?」
「……はい」
答えると、彼の唇がそっと重なる。
「んっ……」
ついばむようだったキスが、だんだん深い物になっていく。