真夜中のパレード
透子は目をぎゅっとつぶり、彼の手を引き止める。
「だ、ダメですっ!」
それを聞いた上条はくすっと笑い、笑顔で了承した。
「分かりました。今日は下に布団をひいて寝ますから」
断ろうと首を振る。
「そんな、それなら私が下で寝ます!」
すると彼はいたずらっぽく問いかけた。
「それなら、一緒に寝ますか?」
「そ、そそそ、それはっ……!」
透子の反応は予想通りだったようだ。
彼はあっさり引き下がる。
「冗談ですよ」
それから少し目尻を下げ、壊れ物のように透子の頬をそっと撫でた。
「さすがに好きな女性の隣で眠って何もしないほどの、
強靭な精神は持ちあわせていません」
「す、すみません……」
ひどく申し訳ない気持ちになった。
「いいえ」
上条はてきぱきと布団の準備をして、電気を消す。
ベッドに座ると、下から彼の声が聞こえた。
「おやすみなさい、天音さん」
「はい、おやすみなさい。上条さん」