真夜中のパレード
☆
――眠れない。
格好をつけたものの、上条はすでに理性の限界を感じていた。
とりあえず何かしていないと落ち着かないので起き上がり、
水を一杯飲む。
すぐ近くに、天音が眠っている。
身体をそっと近づけ、ベッドにもたれかかって座ってみる。
彼女はもう、すぅすぅと小さな寝息をたてて眠っていた。
驚くほど無防備だ。
まるで危機感がなく、安心しきっている。
それを見ると、自然と顔が緩んだ。
これが自分のことを信頼してくれている証拠なら、裏切ってはならないと思う。
不思議な人だ。
こんなに美人なのに、
身体に触れた時の反応はどうにも男性に慣れていないようで。
いつも少し怯えるように小さく震えながら、
それでも懸命に応えようとしてくれる。
彼女ならいくらでも付き合う男性なんて選べるだろうに、
平凡な自分に会いに来てくれるのが未だに信じられない。
それに、待ち合わせするといつも自分を見つけた瞬間
本当に嬉しそうに微笑んでくれる。
まだ会うのは三回目だけれど、
上条は自分がすっかり天音に心を奪われているのを
自覚していた。