真夜中のパレード
がっちりと留め具が地髪に装着されているからだ。
数時間ならいいけれど、
さすがにこんなに長い時間つけていると頭が痛くなってくる。
ここらへんもこれから上条と付き合うつもりなら、
考えなくてはいけない課題だ。
透子はそっと彼の顔を見つめた。
まだ座ったまま、くうくうと息苦しそうに眠っている。
くすりと笑みをもらし、なぜか泣きそうなくらいに
胸が苦しくなったのに気づく。
……いつのまに、こんなに好きになったんだろう。
きっと長くは続かない。
こうして隠し事を重ねていれば、
いつかは嘘が暴かれる日が来るだろう。
その前に、彼から離れなければいけないのはわかっている。
だけど、近づけば近づくほど、側にいたくなった。
彼のことを、こうしてもう少しだけ
天音として見ていたい。
強く、そう思った。