課長が私に恋してる?
「なんで気づいたら私の隣で寝てるんですか」
本当に寝ていたかどうかはいまは考えないでおこう。
とりあえず状況を確認するべく目の前の男を見つめる。
すると如月はいまだ触れ合っている肩をそのままに軽く首を傾げる。
「知らん。電車乗り込んで適当に空いてる席に座ったとこまでは覚えてる」
「………」
なぜこうそっけないのだろう。
さっきまでの少年のような寝顔はどこへやら、今は年相応の仏頂面プラスまるで反抗期の高校生のようである。
「びっくりしました。気づいたら隣に如月課長がいるなんてなんの罰ゲームかと」
そう言うと、如月が少しだけムスッとして琴子を睨む。
どうやら罰ゲームという単語がお気に召さなかったらしい。
すぐさま「嘘ですすっごく役得でした」と棒読みで弁明しておく。