課長が私に恋してる?
scene2:添い寝フレンドってなんですか
『掛かってくると思った』
電話口の如月課長はどこか勝ち誇ったような声音で、なぜかは分からないけど悔しくなった。
「……あの、私の高級お野菜のことなんですけど」
『この袋の中に入ってるやつだろ。そこで待ってろ、次の駅で乗り換えてそっち向かう』
有無を言わさずピッと電話は切られて、琴子は盛大にため息をついた。
(上司に野菜届けさせるって、部下としてどうなの…)
それに、さっきの如月の不可解な行動対して琴子はいまだに動揺しているというのに、これからまた会うということに少しだけ躊躇する。
反対側のホームに如月は着くのだろうなと思って、そっち側に移動して、誰もいないホームでぽつんと佇む。
秋も深まり、季節はもうすぐ冬だ。
肌寒い木枯らしに目を細めて、琴子はもう一度さっきの出来事を思い出す。
(なんで、眠ったふりなんかしてたんだろう……)
触れた肩の温度はまだ鮮明で、こんなに寒いのに内側から火照っていくような気さえする。