課長が私に恋してる?
まるで確信犯的な如月の反応。
開いていた瞳、離れなかった肩。
すべてがまるで理解できなくて、しかし一瞬よぎったある予感には苦笑を洩らしてしまうレベル。
(まさか、だよね。如月課長ともあろうひとが私みたいな直属の部下を好きになるわけない)
それくらいのモラルはあるだろう。
だって、彼は経理課の鬼課長だ。
(自分から規律を乱したりしない。
それが私の知ってる如月真矢だ…)
そこまで考えてふっと肩が楽になった。
そう、だからさっきはきっと疲れていただけ。
だから私に驚く余力もなかったんだろう。
そう結論付けた直後、ホームに電車が入ってきた。