課長が私に恋してる?


待ちくたびれて、ずいっと袋を奪おうと手を出す。



しかしひょいっと交わされる。
ずいっ、ひょい、ずいっ、ひょい、と尚も幾度か繰り返し。



(おのれ如月真矢……!
あたしに手間かけさせられたからイジメようって魂胆だな……!!)



この童顔おこちゃま三十路!!と心の中で唾を吐いて、これで最後じゃ!とばかりに掴みかかった。



「おっと」



「うわっ、ひゃあ!」



しかし勢いがあまりすぎたのか、ドンとそのまま如月課長の胸の中へ不時着してしまう。



びっくりして目をパチクリさせる。
琴子が倒れ込んでもビクともしない胸板は案外厚かった。



そして。



(うわ、鼓動、早い。すごいドキドキ言ってる……?)



その如月の胸元からは確実に琴子のものではない早い心音が響いていた。



「………。離れろ」



ずい、と二の腕を掴まれ引き離される。
そうされて初めて、琴子は自分がしたことに思い至る。



(でも、え……?なんであんなに、心臓の音が…?)




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