課長が私に恋してる?
そして、先程から臀部にあたっていた熱を孕む硬いそれに琴子はそっとため息をつく。
仕方なく向きを変えて如月と正面から向き合う形となった。
こんな気を、まさかこの堅物上司に遣うことになるなんていつ想像出来ただろうか。
「………。あの、野暮なことを聞くようで申し訳ないのですが………」
そう、前置きをして。
一思いに真っ直ぐ言った。
「私を、抱きたいんですか」
あー、聞いちゃった。
ちらり、と見上げて様子を窺うと、如月は熱に浮かされたようにこちらを見つめる。
その視線に否応なく鼓動は速くなって、ちょっと待てこんな展開になるはずじゃなかった、とどこかでブレーキをかける自分がいて。
(気をしっかり持て私!エッチから始まる恋は、ダメ、ゼッタイ!)
世間一般でいったら、セックスなんてそんな高いハードルじゃないことは分かってる。琴子自身処女ではないし、如月だってそれなりの経験値は積んでるだろうとも思う。でも、それでも譲れないポリシーは誰にだってあるはずで。
だからこそ、ここで抱きたいと答えるようなひとならそもそも"合わない"のだと、そうジャッジしてキッパリハッキリ断ろうと意気込んだ琴子だったのだが。