課長が私に恋してる?



聞くと彼は、じっと琴子を見つめた。



その瞳の真剣さに、琴子は思う。



これは、真剣な交際を望まれるのではないか、と。



思い返しても課長に好かれたようなことをした覚えはまったく無いものだから、世の中不思議なこともあるものだと一人頷く。



そっと、如月が唇を持ち上げたのを見て取って、あ、来る、とゴクリ唾を飲んだ。



(さあ、来るなら来い…!)



ちなみに返事は保留にさせてもらうことにしよう。
台詞はそう、「少し時間を下さい」が無難なところだろう。



そこまで準備していたものだから、次の台詞を聞いた時、琴子はしばらく何を言われたか分からなかった。



「多くは望まない。
……一緒に、眠ってくれるだけでいい」



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