課長が私に恋してる?
scene3:家と会社で違う顔とか


"人肌が恋しい季節"という言葉がある。
それは主に秋から冬にかけて、だんだんと寒くなる季節によく用いられる台詞である。



これは、秋から冬にかけて妊娠することで、次の年の夏から秋という一番作物が豊富な時に子を成せるという生物学的本能に則った感覚であるため、まさしく今の時期に人肌が恋しくなるのはヒトという哺乳類にとって全くもって当たり前の感覚なのである。



ーーーそう。



だから、"一緒に眠りたい"なんて、全然、おかしい感覚じゃない、はず。



たとえ相手が会社の直属の上司でも、元々は人間。元々も何も現在進行形でニンゲン。
そういう本能に基づくことだってある、はず。



抱かないって言ってたけど勃ってたんだし、きっと根底にはそういう本能ありきの提案なのだと、思う。



だがしかし真意は全くもって掴めていない、現在時刻20時07分。



カチカチと時計の音だけが辺りを支配してる今、頭の中で猛スピードで考えを巡らせながら琴子は如月と無言のまま対峙している。


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