課長が私に恋してる?
「………一緒に眠るだけ、ってどういうこと、ですか?」
ようやっと口を開いてみると、思ったより口内はパサパサで、知らないうちに乾き切ってたことを知った。
存外自分は、緊張してるらしい。
「そのままの意味だ。身体の関係は望まないと約束する。たまに一緒に過ごして、一緒に眠って欲しいと思う」
「えと、何のために?」
「俺がそうしたいから、という理由だけでは不足だろうか」
俺が、そうしたいから。
なんて傲慢で、自分勝手なんだろうと思う反面、不思議とストンと腑に落ちる理由だと感じた。
「私じゃないと、ダメですか」
「お前だったら、嬉しい」
そうして如月は視線を落とす。
照れたような仕草に、微笑ましささえ感じられる。
無骨な、ただ単語を並べたようなぎこちないやり取り。
それなのに、こんなにも熱い想いが伝わってくるのを琴子は不思議に思う。