課長が私に恋してる?


それは入社してすぐの頃。
新入社員を含めて大きな飲み会があったのだ。



琴子はまだ経理課ではなく庶務課に配属されていたため、如月との接点は全く無かった。



だから、この人がどこの誰かなど全く分からない状態で琴子は如月と初対面を果たしたことになるのだが。



(……あーあ。いるよね、こういう自分の限界分からず飲みまくっちゃって潰れる馬鹿)



大学でそういうのは卒業してきなさいよ、と心の中だけで呟いて、酔いを覚ます為に抜けた外の空気の中、琴子は逆に酔い潰れた男性社員を発見した。



うーうーと唸って、飲み屋脇の路地裏でしゃがみながら吐こうか吐くまいか迷っている様子の男。



そんなになるならトイレ行って吐けばいいのに、と思いながら琴子はそこにあった自販機で水を買う。



さっきコンビニで買い物をした際にもらったビニール袋をポケットから探り当てると、カツカツと男に歩み寄って行った。



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