課長が私に恋してる?


「……ん。また今度、な」



どうやらこの3つ年上の男は『また今度』という単語がお気に召したらしい。
これからの未来を予感させる単語だったことに、如月の反応を見て気付いて琴子も自然と頰が赤くなる。



罪作り女かなー、なんて一瞬思って、でも添い寝してる時点でわりと思わせぶりなことしているんだろうな、と少し心は重くなる。



でもまあ、好きと言われたわけじゃない。
もう少し軽く考えてみようかな、と思って早速ためらいなくベッドに潜り込んだ。



「課長、照明消してもらってもいいですか?」



そう言ってまだ突っ立ったままの如月を見上げると、びくりと彼は身体を震わせる。
明らかに動揺してるさまに、琴子はなんとも言えない気持ちになった。



「かちょー、緊張してます?」



意地悪くそう尋ねてニヤリとする。
すると如月は少しだけむすっとして、照明を消したかと思うと張り合うようにベッドに潜り込んできた。



「……別に、緊張していない」



触れるようで触れない距離。
しかし真っ暗なことも手伝って、その距離はもっと近いような気がする。



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