課長が私に恋してる?


(アフターファイブまであと10分……)



請求書や納品書の整理をしながら琴子はチラリと腕時計を見てほくそ笑む。
今日も疲れたなあーと、書類をトントンしながら今日の夕飯は何にしようかなと考える。



(そろそろ寒くなってきたしひとり鍋でもしようかなー。それか外食にするか)



あまりに琴子は夕飯について真剣に考えていた。
だから、気付かなかった。



「高遠」



「ひゃう!」



いきなりの耳元でのイケボイスにゾクリと鳥肌が立った。
おいおい誰だよと振り向くと、そこには昨夜から見慣れたオトコの姿。



「如月課長!」



驚いて立ち上がると、彼は琴子を囲むように作業をしていた机に両手をつく。
あまりの近さに、琴子は声を詰まらせる。



ちなみに請求書などの整理は経理課ブースの端、奥まった場所で行っていたため他の社員に見られることはない、けど。



(なに、え、イキナリこの状況とかどこのラブコメ)


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