課長が私に恋してる?
「すみません、ありがとうございます。俺、酒すげー弱くて…。しかも次の日には全部記憶飛んでるし…」
ぼうっと、まだ赤い顔を押さえて男は言う。
「いえ、それより大丈夫ですか。今日はもう帰ったほういいと思いますけど」
こてん、と小首を傾げて問うと男はしばらく琴子の顔をじっと見つめると、嫌々をするみたいに首を振る。
「いや、……まだ、もう少しここにいます」
「え、どうして」
「せめて今年の新入社員の顔くらいは一通り見ておきたい…。もう俺も三年目だし、後輩になる社員たちなら尚更だ」
(え!?
このひと同期じゃないの!?)
琴子の驚愕なんて余所に、男はまだしかしいくらか唸っている。
本当に大丈夫なのだろうか。
お酒のあとスポーツドリンク飲んじゃう時点でわりと心配なんだけど。