課長が私に恋してる?


「ブラジャー、取ったのか」



さて寝ますかと照明を落とす直前で言われたセリフに琴子はウッと声を詰まらせる。
このエロオヤジ、と睨むも天然なのかなんなのか全く如月は意に介していない様子。



「……取りましたけど、何か?」



もはやヤケクソで胸元を広げてみせる。



(どうだ如月真矢。これでもちゃんと貞操は守ってくださるんだろうな?ん?)



むしろ襲ってでもくれたらこの関係を即刻破棄してやるのに、と挑発的に攻め込むも、やはり年の分向こうの方が一枚上手だった。



すっと距離は縮められ、覆いかぶさるようにのしかかられて間近に如月の顔を捉える。



え、と声を上げた頃にはギシリと琴子はベッドに沈み込んでいて。
その軋んだ音がやけに響いて聞こえてぞくりとした。



「ちょ!え!?如月課長ダメですってば!!」



わあわあと焦る琴子をよそに真上にのしかかる男の体温は熱くなっている。
絡みつく視線はどろりとした欲を秘め、口元はわずかに弧を描いていて楽しげだ。



「誘ったのはお前の方だろう?」



(昨日は手を出さないって殊勝にアナタ言ってたじゃんかー!)



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