課長が私に恋してる?
いやあ襲われるぅ、とさっき思ったこととは真逆のことで頭がいっぱいになる。
(どうしよう安心しきってムダ毛の処理してないし、ていうか超久しぶりだから入れたら絶対痛いよね、もう嫌なんだけどーーーーー!)
頭のなかがリアルなことでいっぱいいっぱいになっている。
しなやかな如月の左手が琴子に伸び、それを目で追って。
あ、くる、と ぎゅうっと目を閉じた。
しかし、琴子に触れるはずの温もりはいつまでたってもやってこない。
ついでカチリと軽快な音がして。
(………?)
ぱちりと目をあけるとそこは真っ暗で。
覆いかぶさっていた肢体ももぞもぞと隣に戻ってきていて、ただ単に琴子を越えた向こう側にあった照明の電源を消されただけだと思い知る。
「どうした?」
「え、いやどうしたもなにも課長、アナタ」
「なんだ?
……期待でも、したか?」
小馬鹿にするような如月の声が横で聞こえて、見えにくいはずだけれど琴子は堪らず睨みつけた。
「期待なんてしませんからー!!」