課長が私に恋してる?
その日、いつもより早起きした琴子は、目の前にある如月の端正な顔をとっくりと眺めていた。
意外にも長い睫毛は、カーテンから覗いた朝日にキラキラと輝いていて、なんだか神秘的な彫刻を見ているような気分になる。
眉毛は普通の人よりもキュッと逆ハの字で、どちらかというとキツめな印象であり、それがやはり少年のようにあどけなかった。
思わず、
触れてみたくなる。
人間、一度そういう悪戯心が出てくるとなかなか止められないものである。
琴子も同様、思わずゆっくりと如月の顔に手を伸ばしていた。
つ、と触れるか触れないかぐらいのタイミング。
パチリと開いた瞼。
がっつりと合った視線。
「「………………」」
お互い無言のまま気まずい沈黙が流れて。
ニヤリと彼が笑ったのは何故だったのか。
そのまま如月は逆に琴子の顔に手を伸ばした。
びくりと怯んで手を引っ込めた琴子とは対照的におでこに触れた右手。
「な、……んですかっ」
びくびくと尋ねると、彼は楽しげに琴子の前髪を弄び始める。