課長が私に恋してる?
朝は、琴子が顔を洗って着替えてから化粧をしている間、如月がささっと朝食を作ってくれている。
気づいたらそういう生活リズムになっていたのだけれど、申し訳なさに手伝うと言ってもどうやら一人の方が彼は作りやすいらしい。ほんとよくできた嫁がウチに来てくれたわあ…とどこかの姑のように琴子は如月のエプロン姿にひとりうんうん頷いている。
「できたぞー」
「はあい!わあ、今日も美味しそう!」
二人で朝のニュースを見ながらたっぷりの苺のジャムとバターを塗ったトーストにかじりつく。
今日もどうやら快晴らしく、カーテンを開けた窓からは柔らかい日差しが降り注いでいる。
「もうすぐ月末ですけど、今月の収支、どんなかんじになりそうですか」
「あー、先月出した新商品あるだろ、炊飯器の。あの売れ行きがイマイチで開発費用とか宣伝費のわりに芳しくないからな。炊飯器部門は落ち込みそうだ。ほかは…」
何を話そう、とわたわたすることもなくなった。
同じ課ということもあって仕事の話や人間関係の話やらなかなか話題は尽きないもので。
それもこの男と一緒にいることが苦ではない一因でもあった。