課長が私に恋してる?
scene6:合コン行ったら妬きますか
「琴子先輩、合コンのことなんですけどーー」
花金アフターファイブ。
仕事も終わり帰る準備をしていると隣からの華やいだ声に琴子は振り向いた。
「十和ちゃん……。合コン………」
そこにいた女の子の名前と、言われた台詞のなかの単語をおもむろに復唱し出したのはもちろんなんの話だったかすっかりぽんと忘れていたから。
まるで痴呆にでもなったかのような琴子に「もうっ、おばあちゃん!」と十和は拗ねたようにほおを膨らませた。
「この前話したじゃないですか!合コンしましょうよって」
「え、なにあれ本気だったの!?」
驚いて大きな声を出してしまって慌てて声を抑える。
言われたのはおそらくいつぞやのランチのときに話したことだろう。
「っていったって、私あんまり合コン経験ないんだよね…。正直あんまり気乗りしなーー…」
瞬間がっしりと両肩を正面から掴まれる。
俯いた目の前の彼女の表情は伺えないけれど、なにやらとんでもなく嫌な予感がする。
メリリ、と肩に手が食い込んでいるのは気のせいだと思いたい。
「そんなんだと……」
瞬間、クワッと顔を上げて
「一生独身お先真っ暗干物どころか化石女になっちゃうんですからね!」
行きますよ!と宣言されてしまうと、勢いにのまれた琴子は気づくとコクコクと頭を縦に振っていたのだった。