課長が私に恋してる?
ごおっと音が鳴って電車はトンネルに入る。
ここを抜けてしばらくすると琴子の降りる駅だった。
ああ、起こさなきゃな、と思いながらふと正面を見るとトンネルのせいで暗いからか窓にくっきりと琴子と如月の姿が映っている。
まるで恋人同士みたいに寄り添っていて、なんだかすごくむず痒い。
窓の中の如月をついつい睨んでしまう。
……そして、気づく。
えっと声を上げそうになってぐっと我慢した。
(…なんで……)
窓の中の如月課長は薄く目を開けていた。
ぼんやりと琴子に体重を預けたまま、驚くこともなく、動くこともなく、じっと琴子の手の辺りに視線を落としている。
ドクドクと血が巡っていくのが分かる。
どうして、と思う自分と、まだ寝ぼけているのかと疑う自分、けれどそれ以上に彼はもう完全に起きていて、琴子に寄りかかっているのは確信的だと、そう、直感的に感じ取った自分がいた。