足音
彼女はそれなりに御目麗しい。
ショートカットにくりくりの目。
黒髪に眺めのスカート。
昨今の女子高生にしては、大変慎ましい姿だ。
“ダサい”と加世を知らないものは言うけど、彼女を知るものは決してそうは言わない。
だって、こんなに明るい性格でダサいも何もないのをみんな知ってるから。
「え、南?本当に何やらかしたの?」
「ただプリント取りにいくだけだよ…次進路だろ」
「あー…あのつまんないやつ。偉いなあ、南学級委員だもんね」
そうしゃべる間も、彼女はキャピキャピついてくる。
ちっちゃい足を懸命に動かして、歩幅に合わせようと必死に。
俺は別に会わせる必要もないから、俺の速度で歩いていく。