足音
『なら、一緒に逃げようよ』
『へ?』
そう、そしてそこからだった。
彼女が犬化したのは。
「南ぃー!」
気がつくと後ろにいた彼女に振り替える。
「早いよー」
「…」
足を止めた隙にダッシュで追い付こうとする。
なんとなく走ってみたら、「ああっ!鬼じゃ、鬼がおるっ」とかついてこようと必死だった。
面白い、本当に。
「あ、加世じゃーん」
「ほ?あ、ミミだ」
とか思ってたら、後ろから声が聞こえた。
友達に話しかけられたらしい。
短いスカートに、茶色に染められた髪。
なんだか不釣り合いだけど、それ以上に彼女の顔に興味が行った。
友達と出会えたから、眩しく笑う。
「何してんの?」
「あー…手伝い的な?」
「うぉ、偉いねアンタ」
手伝い?追っかけだろ。