足音

『なら、一緒に逃げようよ』


『へ?』




そう、そしてそこからだった。


彼女が犬化したのは。



「南ぃー!」


気がつくと後ろにいた彼女に振り替える。


「早いよー」

「…」


足を止めた隙にダッシュで追い付こうとする。


なんとなく走ってみたら、「ああっ!鬼じゃ、鬼がおるっ」とかついてこようと必死だった。

面白い、本当に。



「あ、加世じゃーん」

「ほ?あ、ミミだ」


とか思ってたら、後ろから声が聞こえた。


友達に話しかけられたらしい。


短いスカートに、茶色に染められた髪。

なんだか不釣り合いだけど、それ以上に彼女の顔に興味が行った。


友達と出会えたから、眩しく笑う。


「何してんの?」

「あー…手伝い的な?」

「うぉ、偉いねアンタ」


手伝い?追っかけだろ。
< 5 / 31 >

この作品をシェア

pagetop