続♪　奥様のお仕事　
「ねぇ・・・いずれこうやってどちらかが先に
この世から去って行くけど　浩一郎は絶対　先に
逝かないでね」


「それは無理だよ
俺の方が十も年上なんだから　年の順番だろ？」


「浩一郎がいなくなるなんて　考えただけで闇・・・・・」


「それは俺も同じだよ
でもどっちが先に逝っても　こうやっていつかは
一緒にまた暮らせるから　それまではお互いを見守って
その日を待つ・・・・それしかないよ」


「お墓に来ると考えちゃう・・・・」


「まだまだ先だぞ。
これから拓海の将来を少し見て　孫を抱いて
安心してからの　天国への旅だよ」


「そうだね　まだまだ　一緒だもんね」


雪が溶けて顔を出したお墓を　綺麗にふきあげて
花を飾った。


「ムネリン　ハナちゃん　みんな元気だよ。
伸二郎さんもやっと結婚したし　美輝ちゃんちは　三人目が生まれたし
ヒトさんも　ユミちゃんも元気だよ」


お墓の二人にたくさんいろんな話を教えてあげるのが
私の楽しみ・・・・・・・。

「拓海も大学は本州へ進みたいんだって・・・・・
しばらく寂しくなるけど　乳離れしなきゃね・・・・」


「マリンが子離れだよ」
振り返ると　汗を光らせた拓海が立っていた。
< 42 / 48 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop