貧乏アリスを捕まえて
貧乏アリス誕生
沢山の人間がいた
男も女も、一人一人が良さと悪さを持っていて価値がある。
「…くく」
「?さっきから何を笑っているんだ、誉」
「ううん、別に」
いつも無愛想の白ウサギこと、白川誉(シラカワ ホマレ)は珍しいことに口元に楽しげな笑みを浮かべていた。
「…なあ、もうアリスは決まってんのにこれやる価値あるの?」
黙って座っていることに飽きたのか、その燃えるような赤い毛を揺らしながら男。チェシャ猫こと、姫野弘人(ヒメノ ヒロト)は立ち上がる
「しょうがないだろ、これも有栖川の立派な伝統の一つなんだから」
器材の準備と、アナウンスを担当する放送部と話し込んでいた伏見千尋(フシミ チヒロ)が眼鏡を押し上げながら、退屈そうにする弘人にいう
「猫は猫らしく、静かにしてなよ…うっとうしいな」
「あ?白川、お前なんか言ったか?」
「くく、別に?」
「もう、あんた達うるさいわよ!!」
奥から現れたのは妖怪…ではなく寿麻美(コトブキ アサミ)、化粧途中の彼女?はやけに苛々した様子だった。
「こっちはね、今日から妹が進学してから念に念を込めて化粧をしてるのよ?!!」
「は、うるせえオカマ」
「あら…弘人ったら、二度とテレビに出れないような顔にしてあげるわよ?」
「!いい加減にしろ、お前達」