四葉のクローバーの秘め事
「我黏……。お前の趣味はどうでもいいんだよ。そんなことより、所轄に行ったんだよな?犯人に繋がるようなもん見つかったか?」



「いえ、何も。あのビルは廃ビルで、ちょっと前までは不良の溜まり場だったみたいなんですけど、警ら対象になって今では、殆ど誰も寄り付かなくなっていたようです。目撃者も今のところ見つかっていません。第一発見者の新聞配達員も、配達途中偶然発見したそうです。」



第一発見者が勤める新聞社の配達ルートに決まりはなく、配達する本人に任せているとの事だ。

薙晶が一命を取りとめたのは、転落してから発見されるまでの時間が短かったから。

本当に偶然の奇跡である。



叫び声を聞いたという証言も近所の住民からあったが、また不良が騒いでいるだけだろうと気にも留めていなかったようだ。


屋上にあった指紋や足跡は多数あった為、特定は不可能だった。



「そうか……薙晶の意識が戻ればなぁ…」



清憲の、あの迫力のある剣幕で圧力があったのか、所轄も発見されてから数時間でかなり調べたようだが、目立った成果は無い。



報告している小鳥遊も、聞いた厠餉乘も、落胆ぶりはかなりのものだ。
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