四葉のクローバーの秘め事
「疑問だらけじゃないですか!何故それが迷宮入りではなく、事故になるんですか!」



「俺に怒らないで下さいよ。」



小鳥遊の怒りはごもっともだが、それを自分にぶつけられても困ると我黏は思う。



「もしかして、清憲が関係しているの?」



「さすが班長。」



下請けとはいえ、自身の傘下の工場。

事件となれば、マスコミが騒ぐ。


噂されている蝓兵の悪行も露呈してしまい、イメージダウンは避けられない。



そう考えた清憲は所轄に圧力をかけ、事件がマスコミに漏れる前に事故で処理させた。



「蝓兵は誤って転倒、その際果物を剥こうとしていたのか机に放置されていた包丁が刺さり死亡。郁榎は、棚にぶつかった衝撃で落ちてきた花瓶に偶然当たり死亡。そう調書にはありました。」



「無茶苦茶だ。」



我黏の言葉に、小鳥遊は頭を抱えた。



完全に圧力による捜査打ちきりの為だけに作られた、辻褄合わせの調書。



「担当刑事も、やりきれない事件だと言ってました。」



厠餉乘がその目で見た、悔しく無念に歪む担当刑事の顔。


想像に難くないその様子は、浅雛を思う小鳥遊の目にも浮かんでいた。
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