四葉のクローバーの秘め事
「決めたの。」


「何を?」



「聖ちゃんは私が守る。お父様からもお母様からも。誰からも。聖ちゃんが大好きだから。」



薙晶は笑う。

強い意志を持って。



「聖ちゃんはお巡りさんに私のこと言わなかった。聖は私を守ってくれた。」



「言わないよ。だって薙晶ちゃんは悪くないもん。」



「ありがと、聖ちゃん。」



とっくの昔に諦めた。

とっくの昔に分かってた。


欲しい愛情がその人達には無いこと。

その人達がしていることは悪いってこと。



子供でも分かるよ。


自分自身を見てくれていないこと。



それでも、手を伸ばしたんだ。


僅かな望みに賭けて。



だけど、それさえ打ち壊したのは紛れもない自分達だ。



しかし、壊して気付く。


亡くしても変わり無い。

何も変わりはしなかった。


だって、元々無かったのだから。



「薙晶ちゃん、これは秘密だよ。誰にも言っちゃいけない2人だけの秘密。」


「うん。秘密ね。聖ちゃんと私だけの。」



枷の呪縛なんかじゃない。


誰の目にも触れてはいけない、

最高傑作の絆なんだ。
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