四葉のクローバーの秘め事
「薙晶はお菓子作りとかしないの?」



忌まわしき事件から数年。

聖と薙晶は中学生になった。



ある日、聖はふと思ったことを口にする。



「何急に。」



突然何を言い出すんだこの子は。

そんな表情の薙晶。


それもそのはず。


今は今日出された宿題と近々迫るテストに向けて、学生の本分である勉強の真っ最中だからだ。



「いや、一緒には作るけど、作ろうって言うの私だし。薙晶から聞いたことないなぁーって。会社はお菓子関連なのに。」



「それはそうだけど。聖がいるから作ってもいいかなっていう気にはなるし作るけど、どちらかというと作るより食べる方が好きよ。」



「そっか。でも薙晶、作るセンスあると思うよ。私より器用だし。」



聖は本を見て試行錯誤の不器用であるが、薙晶は適当に作っても仕上がりは上出来という所謂天才気質だ。



「よし。じゃ考えるだけ考えてみようか。」



褒められると誰だって嬉しい。

しかも他ならぬ聖からなら尚更だ。



薙晶は滅多に出さないやる気を出した。
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