四葉のクローバーの秘め事
「ねぇ。進路考えてる?」



「全然。清憲様は絶対大学行けって言うよね。」



高校生になって、もうすぐ3年にあがる。

進路を真剣に考え始める時期だ。



「私はそれでもいいんだけど。特にしたいこともないし、お父様は会社継がせようとしてるしね。聖は?」


「私も今のところ特に。」



高校までは漠然と過ごして来たが、やはりその先は良く考えなければならない。

そんな思いが強くなる。



「だったら聖、警察官には興味ない?」


「は?警察官?なんで?」



「聖は警察官に向いてる。体力あるし、優しいし。」


「そ、それだけ…?」



「うん、絶対。保証する。」



特別な理由も無く、天才的な直感らしい。


ただ、薙晶は自信たっぷりの笑顔で言い切る。



「(警察官か……)」



両親の事件の時、テキパキと動いていてカッコよかった。


その後、捜査が打ち切られて報告に来た刑事の悔しそうな顔も覚えている。


定年間近の風貌だったので、今はもういないだろうが。



「(優しい目をしていた…)」



あんな目で、両親もみてくれていたら。


そう聖は思ってしまった。
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