四葉のクローバーの秘め事
「で、あれから猛勉強をしなくても成績優秀だった聖は見事試験に合格。今や花の刑事課勤務~!」


「いきなり何…どうしたの?」



薙晶が突き落とされる数週間前。


聖は薙晶に呼び出されていた。


場所はもちろんホテル。


高級ホテルだとセキュリティがしっかりしているので、部屋の中にいれば問題ない。


2人の仲が知られれば、事件の真実も露呈してしまう。


そう考えた結果、会うのはいつもホテルだった。



「ちょっと思い出しただけ。聖が警察官になった時のこと。」



大学に行って国家公務員の試験を受ければ、本庁のキャリア組になれる可能性があった。

しかし、聖は地方公務員の試験を受け所轄勤務を選んだ。



「まさか生活安全課とはね。」



聖は、華々しい経歴よりお巡りさんになりたかった。


自分の心に残ったあの刑事さんのように。


捜査よりも事件や事故を未然に防げたら。



私達の未来も違っていたかもしれないから。
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