四葉のクローバーの秘め事
「……………。た、小鳥遊っ!」



しかし、今は中学生みたく照れている場合では無い。


薙晶に頑張れと応援されたのだから。


拳を握り深呼吸する。

渇を入れて、小鳥遊を呼んだ。



「ん、何?」



立ち止まり振り向く小鳥遊は、何故呼ばれたか分からず不思議そうな表情だ。



「言うつもり無かったんだけど……薙晶のことも昔のことも、全部話せたから……だから……」


「うん。」



先程と声色が違うことに気付いた小鳥遊は、少し顔を引き締め声のトーンも真剣になる。



「さ、散々断っといて今更だけど……私、小鳥遊こと、好き。」


「っっ……―――!!!」



遠慮がちに言う浅雛。

必然的に上目遣いになる。

本人にその気が無くても、やられた方はたまったものではない。



「へ?あっ……ちょっ……た、小鳥遊………??」



小鳥遊は無言のまま浅雛を抱き締めた。


驚き小鳥遊に話し掛ける浅雛だが、抱き締められる力が強くなっただけ。



人の往来もなく、すれ違った時間を埋める様に、2人はしばらくの間そのままだった。
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