ラブ・ロボット
「坂口さま。もうお帰りでいらっしゃいますか?」
・・・あぁ。
これに懲りずにまた来てください、って、フォロー入れに来たのかな。
なんだか余計みじめになるな・・・。
「・・・はい。今日はもう帰ります。どうもありがとうございました。」
ぺこり、と軽く頭を下げエレベーターに乗り込もうとすると。
「お待ちください、坂口さま。今夜はクリスマスイブと言う事で、特別なプレゼントをご用意してございます」
プレゼント・・・?
キョトン、とする私に、男は紙袋を差し出した。
見ると、可愛くラッピングされた大きめの箱が入っている。
赤いリボンをかけられ、メリークリスマス、の文字が見える。
なんだろう。
簡単なお菓子とかの、粗品みたいな感じかな。
でも、粗品でも何か嬉しいや。
突然のプレゼントにちょっとテンションが上がる。
「ありがとうございます。」
笑顔で受け取ると、男は微笑んだ。
「まだ試作の段階なのでサンプル品ではございますが。坂口さまに楽しんで頂けると幸いです」
サンプル・・・新作のお菓子とか?
やったね。
早速帰って食べよう。
「ありがとう。おやすみなさい。」
「良い夜を。メリークリスマス」
男はエレベーターの扉が閉まるまで、にこにこしながら見送ってくれた。