夢の欠片 ~カタチあるもの~
第二章【秋桜】
「マジか」
合唱コンクール委員に運良く選ばれてしまった羚弥(れいや)くんは、ため息を吐きつつ呟いた。
秋も秋、少しだけ冬も見えてくる今日この頃、ブレザーだけでは心細さを感じます。
学校では黒や紺のカーディガンが基本なんだけど、登下校だけならパーカーなどは黙認、という厳しいんだか緩いんだかわからない校風で、私はなんだか好きです。
でも、このくらいは大丈夫、だなんて思っていると「遠矢は居眠り、遅刻、宿題忘れが多いから教師特権発動」なんてことになってしまいます。
まあ、そうじゃなくても「咲森ならしっかりしてるから安心して任命できるな」なんてことにもなってしまいます。
ズルしても真面目にも生きていけるのに、楽には生きていくなよと言われているようです。
「それじゃあ合唱コンクール委員は二人で決まりだな。放課後、視聴覚室で会議だからな。いいな、遠矢」
「はぁい」
羚弥くんの生返事で学活は終わった。
先生、私のこと信頼してくれるのは嬉しいですが強引過ぎです。
かくして私たちは合唱コンクール委員に選ばれたのでした。
マジですか、とほほ。