夢の欠片 ~カタチあるもの~
「そういえば、合唱コンクールでやる曲って決まったのー?」
「ううん、まだだよ」
「だったらねー」と言いながら真弓お姉ちゃんは、CDをコンポにセットする。「私のイチオシの曲があってー……」
再生されたCDからはオレンジ色の波のような旋律が響いてきた。
「この曲って、なんだっけ……絶対きいたことあるんだけど」
『夏の草原に 銀河は高く歌う』
「サビを聴けばわかるんじゃないかなー」
ゆったりとした曲調で眠気を誘う。
哀愁ただよう合唱曲の定番ってかんじなんだけど。
「なんだっけぇ……」
「あははー、ほら! サビだよ」
『光の声が天(そら)高くきこえる 君も星だよ みんなみんな』
「あっ! 『COSMOS』だ! なんでわかんなかったんだろ」
じんわり胸を熱くしてしばし聴き入る。
懐かしいなぁ、小学生以来触れてなかったかも。
「私は二番の歌詞が好きでね、みんなに推してるんだー」
『時の流れに生まれたものなら ひとり残らず 幸せになれるはず』
「うん、いいね」
真弓お姉ちゃんの言葉に深く共感できた。