夢の欠片 ~カタチあるもの~
「なんか変だな」
羚弥君も私と同じ言葉を言った。「あの神永くんが」
掃除を終わらせて帰ろうとしたところで、ふと羚弥君に昼間のことを話してみた。
「神永くんって有名なんだ?」
「うん。俺も話したことないけど神永はかなりすごい……ってそうじゃなくて」
羚弥君は机の上に乗りながら言った。
陽はゆっくりと赤みを増しながら傾いている。
雲は風に呼ばれてもやもやと集まり始めていた。
「なんかね、こどもみたいに叫んでた」
「うんうん、なんか変だったよねえ!」
新聞部の尾形真理が湧いてきた。
「わっ、いつの間に!」
「よっ! 面白い話してんじゃん!」
「もーびっくりしたよ」
「あははっ! で! その神永くんのことよ!」
「テンションたけぇ……」
さすがは情報通、もうなにか掴んでいるみたい。
だけどここまで賑やかなのは珍しい。よほどのことなんだろうな。
「実はね、神永くんだけじゃないの! 急に暴れ出したり叫んだりしてるのは」
「へー」
「ききたい? ききたい?」
「じゃ、また明日な」
「なんとゼン……え?」
羚弥君は颯爽と帰っていった。