夢の欠片 ~カタチあるもの~
「あらー、お客さんなんて珍しいねー」
「なんで連れてきちゃうのさー」
「あはは、まぁいいじゃん……」
「おっじゃまっしまーす!」
四者四様にリアクションを並べて、我が家はとても賑やかになる、そんな今日これからです。
「いやぁー、そんなどうしてもって言われたら私もまぁ断れないよねー!」
「言ってないよね……」
家に帰るまでずっとこの騒がしさでのマシンガントーク。もうヘトヘトだった。
「麦茶をどうぞー」
「あっ、いただきますー! お姉さん美人ですねー! さじかしおモテになるんじゃないですかー!?」
「あはは、そうでもないわよー」
お姉さんに気を取られている間にこっそりと羚弥君が耳元に言った。
「なんで連れてきちゃったんだよ」
「しょうがないんだよ……。二人が同時に衝撃を受けた顔をみたいって、ずっともったいぶって話さないし、人目も気にせずどんどん声が大きくなってくし」
「あぁ……」
「羚弥君が帰った後すっごくタイヘンだったんだからね……」
「ごめんなさい」
ペコリとあやまってくれたところで真理がこれでもかと大きく咳ばらいをした。
「あぁ、すっげー振り向きたくない」
「うん、長くなりそうだね」
仕切り直すように「さぁ!」と言うと社長のごとくソファにどっかり座って足を組んだ「どこまで話したかしら」
「『マック』って略す人と『マクド』って略す人がいるってとこまで」
「いやそんなこと話してない」
窓の外で葉っぱが音を立てた。風が吹いてきたのかな。
目をやるとうっすらと月が見えた。