壁ドンってステキッ!
今日はなんてついてる日なんだろう。


「サッサインもらわないと!」


慌てて腰につけていたカバンをあさる。


「ふえ!?」


急に目の前が暗くなって、顔を上げた。


「瑠っ!」


「シッ!」


なぜか私の目の前に立っている瑠偉を見てまた叫びそうになると、その口を瑠偉の手で塞がれる。


「静かにしてて」


耳元でささやかれて、コクコクとうなずいた。


瑠偉から漂ってくる甘い香りに、頭がクラクラしてくる。


このまま時が止まってくれればいいのに。


本気でそう思ったとき、「瑠偉!」と叫ぶ女の人の声とともに、バタバタと足音が聞こえてきた。


「やべっ!」


瑠偉が「チッ」と舌打ちをすると、私の腕をグッと引っ張る。
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