告白前の失恋【完結】

そう思ったら、勝手に足が動く。



二人がいるベンチの後ろに立つ。
段々と冷静になって、体の芯から冷えて行く。



もう、初夏だと言うのに。



「梨々子」



自分でも低い声が出たと思った。



びくっと肩を揺らして、梨々子は恐る恐る後ろを振り向く。


「……祐美子」


梨々子から出た消え入りそうな声。

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