Dream
しかし、どこ行こうかな。
この学校も、全員が全員俺のことを知らないとは言いきれない。
だって俺は通っていない今でも、この土木沢高校に在籍する、立派な2年生なのだから。
テストは受けているから、留年することも赤点を取り補習になることもない。
テストのみで補っているから。
入学式だけには出席した俺だから、誰かは俺を覚えているかもしれない。
ただ話さず入学式を終えたから、誰も俺のことなんて覚えていないだろうけど。
帰るか。
図書室へ寄る気もないわ。
「じゃあ先生。
ありがとうございました」
保健室の先生は、俺が高校へ通わない“ある理由”を知っている。
そのことについて聞こうとしていたが、俺は無視して扉を閉めた。
…さて。
私服のいかにも未成年がいたら、何されるかわからない。
俺を知っているのは、保健室の先生か、校長先生のみだから。
「桐野大貴くん」
ふと名前を呼ばれ、振り向くと。
…友永舞耶ちゃん、柿本香枝ちゃんと、冴木水奈子ちゃんが立っていた。
「…ユメならいないよ?」
知り合いだったことに安心しつつ、俺は笑顔で返す。