Dream







しかし、どこ行こうかな。

この学校も、全員が全員俺のことを知らないとは言いきれない。

だって俺は通っていない今でも、この土木沢高校に在籍する、立派な2年生なのだから。

テストは受けているから、留年することも赤点を取り補習になることもない。

テストのみで補っているから。


入学式だけには出席した俺だから、誰かは俺を覚えているかもしれない。

ただ話さず入学式を終えたから、誰も俺のことなんて覚えていないだろうけど。



帰るか。

図書室へ寄る気もないわ。




「じゃあ先生。
ありがとうございました」



保健室の先生は、俺が高校へ通わない“ある理由”を知っている。

そのことについて聞こうとしていたが、俺は無視して扉を閉めた。

…さて。

私服のいかにも未成年がいたら、何されるかわからない。

俺を知っているのは、保健室の先生か、校長先生のみだから。




「桐野大貴くん」



ふと名前を呼ばれ、振り向くと。

…友永舞耶ちゃん、柿本香枝ちゃんと、冴木水奈子ちゃんが立っていた。



「…ユメならいないよ?」



知り合いだったことに安心しつつ、俺は笑顔で返す。









< 101 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop