Dream
「でも安心して。
夢子には言っていないから」
「そうか…」
「ねぇ、これから言わないつもり?」
「そうだけど?」
「言いなさいよ。
夢子が藤崎マドカに奪われて良いの?」
「…」
「好きならぁ、言えよ」
…水奈子ちゃんの言いっぷりが変わり、思わず慌てる。
「行った方が良いと思いますわ。
だって、夢子のこと、好きなんでしょう?
正直、藤崎マドカと夢子は合いませんわ。
だって藤崎マドカは、束縛が激しいですもの。
夢子は反対に、束縛などが嫌いそうですもの」
…でも俺は……。
「ところでぇ、夢子は今どこにいるのぉ?」
「…確かにそうね」
「教室にいるか、確認しますわ」
スマホを取り出した香枝ちゃんが、メールを打ち始める。
「クラスにいる彼氏に聞いているんだわ」と舞耶ちゃんが教えてくれた。
「いないみたいですわ」
「可笑しいなぁ…。
保健室から出て行ったんでしょう?
…見間違えたんじゃないでしょうねぇ?」
「ミナ怖いから落ち着いて」
「だって見舞い違いってあり得ると思うじゃない?香枝」
「見間違いってことはあり得ないと思うわ。
だって桐野くんは、夢子が好きな相手。
嘘つく人だとは思えないもの」