Dream
「…僕、フラれちゃったよ」
「…そうか」
「夢子ちゃんには好きな人がいるってさぁ。
…あーあ、折角僕の恋人になれるって思っていたのに」
「お前は束縛がヒドすぎるんだよ。
もっと束縛を抑えれば、きっと彼女は出来るよ」
「…僕のこと、恨んでないわけ?」
「…別に。
ただ、ユメに手ぇ出したのは許せないね」
「やっぱり大貴は夢子ちゃんが好きだなぁ」
「…好き?」
「好きに決まっているよ。
僕じゃ絶対、夢子ちゃんを幸せにできない。
夢子ちゃんを幸せにできるのは、大貴だけだよ」
「じゃあね」とマドカは去っていった。
マドカと入れ違いに、水奈子ちゃんと香枝ちゃんが出てきて、俺を引っ張り、中へといれた。
「ちゃんと話しなさい」と舞耶ちゃんは俺に良い、3人で図書室を出て行った。
☆☆☆
そして、現在に至る。
ユメはキョロキョロ辺りを見渡し、落ち着かない。
そう言う俺も、話す勇気がわかなくて、落ち着かない。
何か話そう。
そう決めた俺は、あの話題を出すことにした。
「最近小説書いているのか?」
「へっ!?あ…うん」
ユメはいそいそとスマホを取り出した。
今はまだ、言わない。
秘めておこう。
俺、多分怖いんだ。
ユメに「人殺し!」と罵られるのが…。
俺は多分まだ他人を、信じられていない。
ユメも信じられるか…わからないままなんだ。
こんな中途半端な気持ちのまま、ユメに告白しちゃ駄目だ。
もう少し…俺に時間をください。