Dream







「…僕、フラれちゃったよ」

「…そうか」

「夢子ちゃんには好きな人がいるってさぁ。
…あーあ、折角僕の恋人になれるって思っていたのに」

「お前は束縛がヒドすぎるんだよ。
もっと束縛を抑えれば、きっと彼女は出来るよ」

「…僕のこと、恨んでないわけ?」

「…別に。
ただ、ユメに手ぇ出したのは許せないね」

「やっぱり大貴は夢子ちゃんが好きだなぁ」

「…好き?」

「好きに決まっているよ。
僕じゃ絶対、夢子ちゃんを幸せにできない。
夢子ちゃんを幸せにできるのは、大貴だけだよ」




「じゃあね」とマドカは去っていった。

マドカと入れ違いに、水奈子ちゃんと香枝ちゃんが出てきて、俺を引っ張り、中へといれた。



「ちゃんと話しなさい」と舞耶ちゃんは俺に良い、3人で図書室を出て行った。





☆☆☆





そして、現在に至る。

ユメはキョロキョロ辺りを見渡し、落ち着かない。

そう言う俺も、話す勇気がわかなくて、落ち着かない。


何か話そう。

そう決めた俺は、あの話題を出すことにした。




「最近小説書いているのか?」

「へっ!?あ…うん」


ユメはいそいそとスマホを取り出した。





今はまだ、言わない。

秘めておこう。




俺、多分怖いんだ。

ユメに「人殺し!」と罵られるのが…。



俺は多分まだ他人を、信じられていない。

ユメも信じられるか…わからないままなんだ。



こんな中途半端な気持ちのまま、ユメに告白しちゃ駄目だ。

もう少し…俺に時間をください。





















< 106 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop