Dream
聞くべきなのだろうか?
桐野くんについてを。
…でも、人の過去に簡単に踏み込んじゃいけないし。
私は話題を変えることにした。
…桐野くんが、話してくれるまで、待とうと、決めたから。
「桐野くんに夢はある?」
「夢?…今のところないかなぁ」
「でも桐野くん俳優志望なんでしょ?」
…何故かわからないけど。
私は触れてしまったんだ。
「…何で知っているの?」
桐野くんは、
これまでにないほど、
怖い表情をしていた。
声も低いし。
…マドカと同じぐらいに。
「こ、この間桐野くんが置いて行った本、見ちゃって…」
「…なるほどね」
内心ビクビクしながら、本心を話す。
桐野くんは本棚を一瞥した後、私を見て、気味悪いほど微笑んだ。