Dream
桐野くんは突然切り出した。
「そうなの?珍しいね」
いつも私から帰ると言うのに。
「まあねー。
じゃ、そういうことでー」
「バイバーイ!」と元気よく帰っていく桐野くん。
どんな状況でもテンションが高くて、羨ましいな。
てか思うんだけど。
私と桐野くんって、ただの友達なんだ。
私はまだ、桐野くんが好きだけど…。
…我ながらよくコロコロと好きな人変えるなぁ。
桐野くんは好きにならないって決めたのに。
でもやっぱり私は桐野くんが好き。
マドカと付き合っていても、桐野くんのことは頭から離れなかった気がする。
マドカに桐野くんは過去に補導されたことがあるって聞いて、喧嘩しても、どこかで違うって信じていた自分がいた。
…桐野くんが好きなんだ。
もう間違えたりしないよ。
彼氏ではないけど、好きでいよう。
そうしないとまた、マドカみたいにしてしまうかもしれないから。
私はそう、心に決めた。
小説家への夢を諦めるかは、まだ決めていないけど。
せめて3年生になるまでは諦めたくない。
3年生になって、また考えれば良い。
桐野くんに相談すればいい。
友達が出来なかった時も、沢山相談に乗ってもらったし。
よし!
まずは【Dream】を完結させよう!!
しかし次の日から。
桐野くんが図書室に現れることはなくなった。