Dream








「しかし珍しいなー、図書室に人がいるなんて」



先生は持っていた数学の参考書たちを、本棚に仕舞い始めながら、世間話をするかのように話しだした。

ちなみに先生は数学担当なの。



「珍しい…?」

「ああ。
去年…まだ柏木が転入する前までは、1人だけ毎日飽きもせず通っていたけどなぁ」



1人だけ、毎日飽きもせず…?



「桐野くん…?」




思わず口走っていた。





「柏木、桐野を知っているのか?」



いつもは細い目が、大きく開かれた。



てか先生、桐野くんを知っているの…?





「柏木。どうなんだ?」

「…最近、図書室で会いますけど」

「それは本当か!」



まるで幽霊を見たか聞かれているような感じだ。






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