Dream
「桐野は元気そうだったか?」
「え、ええ…」
何でこんなに嬉しそうなの?
「そうかそうか、元気そうか…」
しみじみ言う先生。
「先生は桐野くんを知っているんですか?」
「あ?ああ、勿論。
桐野大貴は、去年オレの受け持っていたクラスの生徒だったんだ」
「えっ!?」
桐野くんが!?
「クラスでは少し浮いていたな。
ほらアイツ、中学の時警察沙汰になっただろ?
その噂は大きく広まっていて、誰も桐野に近寄らなかったんだ」
桐野くん…。
「それでもアイツは常に笑顔だった。
そのお蔭で、最初は誰もアイツに近寄らなかったんだが、アイツが実は優しいってことを知ると、見る見るうちに友達が出来たんだ」
桐野くんも友達がいなかったんだ。
…もしかして、過去の自分とかぶっていた部分が、私にあったのかな?
「しかもアイツ、中学から演劇部に入っていて、かなり有名な役者として将来を有望されていたからな。
桐野の噂を聞いた演劇部の顧問の先生が、アイツを演劇部へ入るよう勧めたんだ。」
桐野くん、やっぱり演劇経験者だったんだ!
しかも将来を有望されていたなんて!!