Dream






「ありがとう桐野くん。
私…諦めないで、やってみようと思う」

「ユメ…」

「だって私には、諦める理由がない。
例え叶わなくても、出来るところまでやってみたい。

…桐野くんのこと、信じたい」



言った瞬間、私は抱きしめられた。



「桐野くっ…」

「ゴメン…ユメ。
今まで本当のこと言えなくて。

俺、怖かったんだ。
ユメに嫌われるんじゃないかって」




桐野くん…。




「俺中学の時、警察沙汰になったじゃん?

あれも実は犯人、俺じゃないんだ。
俺はただ、男の子を助けただけだった。

あの時本当に男の子をおぼれさせたのは、…マドカなんだ」

「え?」



マドカが?



「俺とマドカは中学が同じで。
そこそこ話すような仲だった。

ある時俺は、母親に買い物を頼まれて、川の傍を通ったんだ。
そうしたら男の子の悲鳴が聞こえて。
俺は急いで川へと行った。

川へ飛び込んで助けて、救急車を呼んだものの、その中で男の子は死んだよ。
駆け付けた警察に、俺は連れて行かれた。
あの付近には俺の家以外に家がなくて。
第一発見者は疑われるってヤツだ。
…俺は否定したけど、犯人にされた。

後日、男の子の首にあった指紋から、俺は犯人じゃなかったことがわかって、釈放された。
でも犯人は捕まらなかった」





どうして…?











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